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暗い道を一人でいる少女に止められたタクシードライバーAさん。
少女は夏なのにマフラーにコート姿だった。
迷子だと言う少女を乗せて家まで送り届けたのだが、いつの間にか少女の姿は消えていた。

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そんな吊り広告に興味をそそられ、呼び覚まされる「霊性の震災学」を読んでみました。

東日本大震災以降、被災地では上記のような不思議な体験が多くネットなどで囁かれているそうです。
こちらの本はそんな怪奇現象を、東北学院大学金菱清教授「震災の記録プロジェクト」のゼミ生たちが、被害の大きかった石巻市、気仙沼市でタクシードライバーたちから聞き取りまとめたものです。

他にも、若い男が、やはり真冬のコートでタクシーに乗り込み、
「彼女は元気だろうか?」と呟くように言うのを聞き、
「どこかでお会いしましたか?」と声を掛けると男の姿はすでになく、
後ろのシートにはリボンをかけた小さな箱が置かれていたという証言などが掲載されています。


ドライバーさんたちは目撃をしただけではなくは彼らと会話までかわしているんですよね。
普通タクシーにお客が乗り込んできたら目的地を確認しなければなりませんから。
なぜはっきりと覚えているからと言えば、自分の信じ難い体験に驚いてしっかりと書き留とめていた方が多いからだそうです。


普通に考えたら、夢でも見ていたのだろうと言われるところでしょう。
けれどタクシードライバーである彼らの体験には走行記録などの証拠があり、GPSなどの外的記録にも、彼らを乗せた日時、場所などが記録されています。
少女を親切にメーターを切らずに送り届けたドライバー以外の乗車は無賃乗車として記録されているそうです。

そして、不思議な体験をされたドライバーたちはまた同じようなことがあれば乗せるよと口を揃えます。
幽霊」と呼ぶと怒り、彼らを畏敬の存在として受け入れるドライバーたち。
彼らドライバーたちには、商売柄見知らぬ人を受け入れるオーラのようなものがあるのでしょうか。
興味深いお話でした。

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この霊体験についてのまとめは第1章でほんの一部でした。

他には4石巻市の小学校に建てられた慰霊碑にまつわる遺族の思い、
被災地の象徴として残った「防災対策庁舎」を残すのか立て替えるのか、など。
深い悲しみから復興へと向かう被災地の中、遺族の癒えぬ傷が綴られています。

もう多くを報道されることのなくなった被災地での「その時」と「その後」。
地元大学の学生たちが被災地で実際に聞き取って集めた情報をまとめてあることには、大きな意義があるのではと思いました。


あれからもう5年ですね。

震災のあった年は次女は中学3年生ですでに卒業式を終えていました。
翌日TVでの卒業証書を握り締めた制服姿の少女が見つかったとの報道に、
知らず知らずに涙がボロボロと流れでました。

その日が卒業式なく通常授業であったのなら、
彼女は学校の教室で生きていたかもしれない。
男のアナウンサーはそんなことを言っていました。
けれど亡くなった命には「もしも」なんてないのですよね。

亡くなられた方のご冥福を祈るとともに、
残された方たちの悲しみが少しでも癒されますよう。

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